マラヤ大学での授業を辛口レビューしてみる。
マレーシアからこんにちは。かとけいです。
マレーシアで留学と言ってもなかなかイメージがつきにくいと思うのですが、特に授業とかはどんな感じなのかといった情報が少ないような気がします。
そこで今日は僕がマレーシアで前記取った授業について辛口レビューをしてみたいと思います。
まずは取った授業一覧。
- 外交政策分析 Foreign Policy Analysis
- 人権と国際政治 Human Right and International Politics
- 広告学 Advertising
- 文化観光学 Cultural Tourism
こんな感じです。授業は一コマあたり2時間でそれに加えてチュートリアルが一時間確保されているので全部で3時間、日本の大学の授業2つ分くらいだと思います。履修は最初の2週間で決めるということでこれは日本の大学とほとんど同じ制度ですね。
それでは早速レビュー行ってみようと思うのですが、わかりやすくするために以下の基準を設けました。
- 難易度 ★5〜1 (TOEFL80くらいの人が受講したと仮定して)
- 面白さ ★5〜1
- 総評
この3つを基準に書いていきます。
1.外交政策分析 foreign policy analyse
難易度 ★★★★
面白さ ★★★★
この授業内容自体はすごく面白いと思います。
まずは国際関係の柱になる3つのセオリー、リアリズム、リベラリズム、社会構築主義について学び、プロパガンダや経済制裁についても理解を深めます。
最後の4週くらいはこれらのセオリーを実際に国際政治の分野に当てはめたらどうなるかということで中国の国内政治の国際化であったり、EUの加盟国拡大政策、ブラジルの南米におけるリーダーシップ政策などについて扱います。
授業自体は前もって先生の配布するスライドを読んでおけばそれほど難しくはないのですが、それでもやはり理論的で抽象的な議論が多いのでなかなか一回では理解しづらい部分がありました。
先生の解説自体はものすごくわかりやすいし、一度予習してわからなかったところもほぼスッキリして授業を終えることができました。
ただ問題はスライドの煩雑さ。一枚のスライドに150語くらいで英語がぎっしり書いてあるので見にくいったらありゃしません。スライドを咀嚼するだけでも2時間弱かかるときもあったほどです笑
それと予習で参考文献が提示されてそれを読んでこないといけないのですか、その文献が論文ではなく一冊の本で300ページ超えということがザラでそれが7個も8個も並んでいるのでどれから手を付けたらいいかわかりません。
これをすべて読み切るのは不可能なので何とかエッセンスだけでも拾い上げて読もうとするのですが情報が膨大すぎてほぼ不可能。短いまとめの論文であったり、有益なサイトなどを紹介してくれるともう少し勉強が捗ったのかななんて思います。
geogle scholarなり何なり使って自分で調べろやという自主性を重んじる感じなのかもしれません。笑
ただ最初にも書いたように内容自体はすごく面白いので後期も国際政治系の授業を幾つか取ろうかなと思います。
2.人権と国際政治 Human Rights and International Politics
難易度 ★★★
面白さ ★★★
この授業は主に人権の発達と国際機関の仕組みについて学びます。人権という概念はそもそもどこからやってきたのか、現代の人権は西洋諸国の個人主義の押し付けではないか、といった疑問についても焦点を当てています。
この授業の面白いところは「西と東」の対比が常にされていて、普段常識と思っていることが実は西洋諸国の人権思想から来ていて、東洋諸国はその犠牲になっているということに着眼するところでしょう。マレーシアの大学だからこそ西洋中心ではなく、東洋世界に目を向けた学問を追究できるという強みがあります。
日本でもほとんどの情報が西洋諸国からもたらされる情報で東南アジアからの思想であったり、政策が優先的に取り扱われることはまずありません。自分たちが得ている情報はキリスト教精神を反映しているもので、イスラム世界の声が全く届いていないともいえます。そういったことがこの授業で学べました。
と真面目に書いてみましたが、ぶっちゃけて言うとちょっと授業そのものは自分にとってあまり面白いものとは言えませんでした。
論文を読んでいてもひたすら「グローバル化するこの世界において国際人権規範については政治的アクターが云々で、その規範について再考、再概念化が必要である」みたいな抽象的な議論が延々と続くので、かなり精神を消耗しました。笑
そもそも「人権」ということは自体がかなり広い意味を持つので、こういった議論も自ずと抽象的になってくるのは仕方ありません。このテーマは抽象的な議論が好きで理論的な話にワクワクしちゃうような人にはおすすめです。
3.広告学 advertising
難易度 ★★
面白さ ★★★
広告学ではメディアの機能や種類について学んだり、実践的な広告の戦略理論について学びました。広告、メディアという自分たちに近い存在のものをテーマとして扱う分、それほど抵抗なくスッと頭の中に知識が入っていく感じがします。
ただ逆に言えば、なんと言うか、「俺今勉強してる!」感があんまり味わえないのが残念なところです。
これも完全に趣味嗜好の問題かもしれませんが、何となく直感的にわかりそうなことを学ぶのが好きか、客観的で抽象的な議論から入っていくのが好きかのどちらかでだいぶ意見が分かれそうです。
僕はどちらかというと煩雑で直感では分からないようなものが好きで、「●●主義」とかそういう用語が出てくるとちょっとワクワクしちゃう変態(?)なのであまりのめり込むことができませんでした。
広告学のセオリーみたいなものを大量に学んでから、広告の分析に入る、と言う形式であればもう少し興味が湧いたのかなぁと思いました。
例えば「SNSを利用した広告の拡散」についての理論を学んだ後に、実践的な取り組みとして『「君の名は」の大ヒットにあたってSNSメディアでの宣伝効果がもたらした影響について』と言った感じで分析チックなことができればいいなぁと思っていたんですが、なかなかそうはいかないのが現実。
テレビが果たす役割とは、オンラインメディアが果たす役割とは、と言った感じでひたすら一般的な説明の連続で、各々の概念についての掘り下げであったり、理論的な大きな枠組みの中で考えるといったことかあまりなかったため、ただの単調な暗記になっていた気がしました。
もちろんこれも僕個人の感想で、メディアについて学ぶのが好きな人は取って損をしない授業だと思います。
4.文化観光学 Cultural Tourism in Southeast Asia
難易度 ★★
面白さ ★★
文化観光の諸概念についての説明があった後、東南アジアの遺跡についての文化的価値であったり、保護活動について焦点を当てていく授業。
本当にごめんなさい。本当に申し訳ないんですが、この授業は自分には合いませんでした。
「観光学」ってなんか面白そうと思ってたのですが、そんな幻想は早い段階で粉々にされました。
文化観光の定義とは、有形文化遺産とは、無形文化遺産とは、という定義の説明が何週かにわたって説明されます。もうこの段階でちょっと自分は何か違うと感じていて、結局そのモヤモヤが晴れないまま授業が終わってしまいました。
自分には何が向いてなかったんだろう、と考えたときにやはりそのテーマ自体に興味が持てなかったのが大きかったんだと思います。観光をするのは好きでも、実際に自分がその観光で文化的価値、歴史的価値に興味を持ってみているかというのが疑問でした。
もちろん自分の今まで知らなかったこと、目を向けていなかったことに目を向けることができるのも学問の大切な役割ですが、この分野は何故かあまり興味が持てませんでした。
毎週の課題があまり出されず、最後にどっと大量の宿題が出されたのもあまりこの授業が好きになれなかったところかもしれません。一般的に言えば宿題の出ない「楽な授業」なのかもしれませんが、留学で英語力の向上を目的にしている部分もあるので少しキツイくらいのほうが自分の為になるかなと思っていた部分も少なからずあります。
最後の課題は信じられないほど多かったのですがもうその時にはあまり授業のテーマ自体に興味を失いかけていて、とにかく量をこなすことが目的になっていました。
誤解のないように言っておくと、もちろんこの授業も東南アジアの歴史的建造に興味がある人にはオススメできる授業です。
まとめ
不満もあることにはありますが、概ね今期の授業には満足しています。
偉そうに書いてますが、まだ単位取得できるかも定かでないという。笑
次のセメスターでは今回の反省を活かして次のような基準で授業を取ろうと思います。
●国際政治系の授業を少なくとも1つ
●興味のあるIT、コンピューターサイエンス系の授業を1つ以上
●ムスリム文化についての授業を少なくとも2つ
●なるべく自分に負荷がかかりそうな授業を取る
こんな感じです次のセメスターも頑張っていこうと思います!