ホモサピエンス日誌。

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「ドラえもん」でわかる「国際関係論」その① リアリズム編

こんにちは、マレーシアからかとけいです。

怒涛のプレゼン地獄が終わり、今度はエッセイ執筆が始まりました。

といっても今回は1000words程度のエッセイが2つなので、ゆっくりじっくりやっていこうかなと。

 

2つともエッセイのテーマは「国際政治」についてなのですが、ただ授業で習ったことを書くだけじゃつまらないので、別の授業で学んだ「国際関係論」の理論を絡めながら書いていこうかなと思っております。

 

そういえばちょいちょいブログで僕のこちらの大学の(一応)専門の「国際関係論」について話をしますが、ほとんどの方にとってはあまりの馴染みのない学問領域かもしれません。ということでまだこっちの大学に来て1年もたたないへっぽこ学生ですが、専門外の人にもわかりやすく、なおかつちょっとでも興味を持ってもらえるような形で「国際関係論」を紹介します。

 

「国際関係論」ってそもそも何なの?

※国際関係論を真剣に勉強し始めて、一年もたたないほぼ初学者なのでこれから書くことは完全に僕の妄想に過ぎないとおもっていただいて結構です。笑

 

国際関係論(International Relation)を平たく言いますと「国家と国家がどのような関係を築いていくか」を研究する学問でございます。(そのまんまですね笑)具体的には「なぜ国家と国家が戦争をするのか」であったり、「グローバル化の中で国家はどのようにほかの国と利害の調整を図っていくか」ということを客観的な視点から分析するということになります。

 

まあだからといって一から国と国の歴史を追って、理論を組み立てていくってわけではなく、ありがたいことにもう国際関係論の分野には国家はこうやって動いていくんだよ!っていう頭の切れるエラい学者さんたちがまとめた「三大理論」(Realism, Liberalism, Social Constructivism) が存在してて、これをもとに「この理論に当てはめたら、あの国とあの国がこうやって戦争してるかわかるね!」っていう推論をしていくわけでございます。

 

ドラえもん」を国際関係論的に科学する① リアリズム編

国際関係論をわかりやすく解説みてみた。系のサイト結構見ますが、どれも結構かしこまった言葉で書かれていて、なかなかスナック感覚で読めるものがない気がします。

今回は国際関係に全く興味がない方にもわかりやすく、なおかつ興味をもってもらえるようにするため、国民的アニメ「ドラえもん」を使って説明しましょう。
 
 
ドラえもんに見る「リアリズム」】
ジャイアンは基本的に自己中心的に行動します。「俺様のものは俺様のもの。お前のものも俺様のもの」(ジャイアニズムが彼の行動原理です。こうしてジャイアンはいつもいつものび太にちょっかいを出しています。
 
(そうそれがジャイアニズム

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しかし実はジャイアンがこのような行動をとるのはのび太のやつが俺のものを盗むかも」とひそかに心の中に思っているからかもしれません。だから「盗まれちまう前に、盗んじまえ」というのがジャイアンの言い分です。
 
こうしてジャイアンのび太は常に対立関係にあるわけです。ただ対立関係とはいってもジャイアンが圧倒的に力が強い。のび太は怯えてドラえもんにすがるしかないわけです。やがてのび太ドラえもん、しずかちゃん擁するのび太陣営」ジャイアンスネ夫擁するジャイアン陣営」に分かれて、いわゆる「冷戦」が始まるわけです。
 
 
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【解説】

さて、このジャイアンの「やられたらやり返す。倍返しだ」ではなく「やられる前にぶん殴る」というジャイアニズムからなる対立のしくみが国際関係論の中ではRealism (現実主義)にあたるものです。(※これはかなり乱暴なまとめ方です。もちろんRealsimの中にも様々な学派が存在しています。誤解のなきように)

 

リアリスト(リアリズムを唱える人)は国家がこのいわゆる利己的で搾取的な 「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」というジャイアニズム精神を持っていると主張します。

別の言い方をすれば、リアリストは人間の本性は「人の上に立ちたい」という邪悪なものであると言っていて、この人間の本性こそが国家を動かすものだと考えているのです。だから国際関係は「権力闘争」「自己利益の最大化」に満ちていて、国家は生き残りをかけてしのぎを削っているものというのがリアリストの主張です「争いのない世の中が一番です」という理想を語る人たちに「お前ら現実を見ろ!国家はみんなジャイアンみたいに自己中心的な奴らだぞ!」と言っているんですね。

 

このように、リアリズムの考え方は僕たちの感覚から言えば「乱暴で、喧嘩屋」みたいなイメージがあることから、一般に日本ではこういったリアリズムの主張は少数派で、なかなか受け入れられにくいものだとわかると思います。ただ国際関係論の中ではこのリアリズムは主流のものとして受け入れられています。学者さんの中にもジャイアン好きが多いんですかね。

 

ジャイアンはRealismでいうところのヘゲモニー(覇権)国家です。文字通りドラえもんの世界ではジャイアンは覇権を握っていて、のび太ドラえもんさえも道具なしでは勝てません。ドラえもんの道具は国際関係でいうところの「核兵器」でしょうか。これにはジャイアンも黙るしかありません。ドラえもん恐るべし。
 
 (間違ってもこんな風には思ってはいけません)
 
さて、ジャイアンの心の中には「のび太が俺のものを盗むかもしれない」という猜疑心があると書きました。彼はその疑いをだんだんと強めていって、もしかしたらのび太ドラえもんの道具に屈しないように裏では筋トレをしてるやもしれません。これを国際関係論の中では「安全保障のジレンマ」(security dilemma)といいます。国家は他の国家に対して常に「自分の利益、領土が侵略されるかも」という不安を抱いていて、その不安ゆえに自国の軍隊の増強に励みます。それに気づいて他国もその国に負けじと自国の軍備を整えます。ドラえもんでいう、のび太もビルドアップ始めるってことになります)この繰り返しの結果、かえって両国家の安全保障面において緊張が高まるということですね。
 
(画像あるのかよ)

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はい、次です。のび太くんはビルドアップの甲斐むなしく、ジャイアンにボコボコにされてかえってきます。でものび太くんはまだ諦めない。のび太君にはドラえもんがいます。のび太君はドラえもんの道具(=軍事力)を使えば、ジャイアンにやり返せると信じて疑いません。なんてったってドラえもん核兵器もってんだから。
 

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国際関係でもこれと同じことが起こります。軍事力を持たない国、あるいは軍事力が他国に比べ弱い国は、軍事的に力を持つ国と提携を結んで自国を他国から守るようにするのです。次第に大国がほかの小国と軍事提携を結んで「連合」を作ったりするわけです。
 
のび太はリアリストかも)

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これが最終的にアメリカに代表される「資本主義陣営」ソビエト連邦社会主義陣営」にわかれるようになるんですね。この2陣営は勢力的に均衡していて、この均衡状態によって世界の秩序は保たれる。これを国際関係論では勢力均衡論(balance of power)といいます。このような対立の流れがリアリストたちの冷戦に対しての見解です。リアリストたちはこの均衡論を信奉したがために、冷戦の終わりを予想できなかったんですね。

 
ドラえもんの言う通り)

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さてここでリアリズムの解説は終わりですが、気づいたら結構記事にボリュームが出てしまいました。笑 今回はこの辺にしておきますね。
次回(もし皆さんからのウケがよければですが)は今回のリアリズムとは双璧をなす存在である「リベラリズム」について、またドラえもんの例を使って紹介したいと思います。ではでは今日はこれにて。
 
かとけい
 
P.S. 国際関係論を「ドラえもん」を使って説明するの割と新しいとおもったんですが、ググったらもうほかの人に先越されてました。笑
興味のある方はこちらもどうぞ。
 

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