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プレゼンは「詰め込む」のではなくて「省く」もの。

最近授業関連で立て続けにプレゼンがあり、その中でいろいろとフィードバックをもらう機会があった。

中でも最も大切な教訓は「プレゼンはいかにシンプルに作れるかどうかが勝負」ということだった。

 

プレゼンは情報を「詰め込む」ものという思い込み。

 

ちょうどこの前にしたプレゼンのテーマは「Conflict Analysis (対立分析)における学際性(=研究領域が複数にまたがっていること)」についてだった。紛争分析は国際関係論における一つの学問領域で、世界中で起こる衝突(紛争、戦争、民族対立など)における勢力同士の対立の構図について分析したり、いかにその闘争を防止できるかについて分析するものである。その紛争、戦争といったものが国と国、民族と民族同士の対立といった大規模なものであるために、その分析には非常に多様な学問的な見地からのアプローチが必要になる。(=対立分析における学際性)

 

この「衝突」の背景にある要因は、政治、経済、文化、歴史、ジェンダー、人種、etc...と多岐にわたり、またその「衝突」を分析するにあたって援用する理論も、伝統的な国際関係論における理論(リアリズム、リベラリズム等)をはじめとして、ゲーム理論構造主義などありとあらゆるものを参照する必要がある。

 

・・・とこのように少し専門性の高いテーマであったがゆえに、それを説明するのにもかなりの時間を要した。自分の中では「プレゼンはわかりやすく説明しなければならない」で「一つずつ概念をかみ砕いて、細かく説明する」ことが必要だと思っていたので、40枚にも及ぶスライドを作り、なるべくスライドには文字もグラフもふんだんに使うようにした。

 

詰め込みプレゼンは拷問である。

 

・・・結果は散々であった。プレゼンを初めて15分を過ぎたあたりであっただろうか、何人かの生徒がスマホをいじり始め、中には机に突っ伏して寝ている生徒もいた。そして30分を過ぎたあたり(プレゼンが予想以上に長引いてしまった!)まさかのまさか、教授がうたたねを始めた。

 

これはさすがに堪えた。前のセメスターでは原稿をほぼ丸読みしてしまい、あまりオーディエンスのほうを見れなかったことを反省して、原稿はほぼ見ずに、身振り手振りを多く使って説明したつもりだった。がしかし、そんな努力は無に帰した。自分の英語が聞くに堪えなかったのだろうか、説明がわかりにくかったのだろうか、と思っていたがその教授曰く、単純に「プレゼンが長すぎたし、スライドが多すぎた」ことが今回の敗因だったそうだ。

 

そこでハッとさせられた。「プレゼンはシンプルに作らなければならない」という基礎中の基礎を自分は忘れていたのである。ここでいう「シンプルさ」というのは説明の仕方を難しい用語を使わずに簡単な言葉に言い換えることだけではない。プレゼンは短く、はっきりとしたメッセージだけを抽出しなければならない。膨大な量の情報をプレゼンに詰め込んだとしても、それが相手の理解を助けるとは限らないのだ。

 

スライドはなるべく丁寧に、情報の抜け漏れがないように文字、図の両方を使って、視覚的に訴えたつもりであった。しかし、人間の頭は一度にすべてのことを吸収できない。一スライドで覚えていられるのはほんとに少しのことだけだ。それなのに、40枚にもわたって、国際政治の諸概念を事細かに説明をされれば、いかに教授であれども、眠気が襲ってくるものだ。自分の作ったプレゼンはオーディエンスにとってみればただの拷問に過ぎなかったのだ。

 

プレゼンは短時間で、シンプルに伝える。

 

この失敗から学んだこと。プレゼンは量的にも質的にもシンプルでなければいけない。もちろんアカデミックなプレゼンでもあるから、論理性を伴うものでなければならず、学問的に価値があるものでなければならない。Wikipediaなどからの引用はもっての他であり、文献からの適切な形での引用や、先行文献の正確な理解や高度な分析が求められる。この「シンプルさ」と「学問的な価値の創出」の両立が非常に難しいところであるが、その枠組みの中でいかに高いパフォーマンスができるかが腕の見せ所なのかもしれない。

 

少し仰々しい書き方をしてしまったが、そこまで恐れることではないのかもしれない。要は「いかに情報を削るか」ということに注意を払えばいいのだ。もちろんリサーチの段階では多くの文献に目を通さなければいけないのだが、それをすべてプレゼンに詰め込む必要はないのだ。情報を頭に入れた後は、その情報は省けるだけ省き、最小の形でアウトプットすればいい。

 

「プレゼンで伝える」とはそういうことだ。レポートではなく、プレゼンという形式で伝えるということは視覚的にもわかりやすいものにすることが最も重要である。どんなに口のうまいプレゼンターでも30分間絶え間なく話し続けたら、観客を退屈させてしまう。「シンプルに、短く、わかりやすく」この三拍子がそろってこそプレゼンはイキイキしてくる。